がん治療は早期診断・早期治療が原則で近年ポジトロンCT や陽子線治療が先端医療機器として現状稼働しています。しかし、いま医療現場では再発がんの治療が最大の課題になってきています。日本では3 人に1人ががんに罹りその半数が再発、再発がん患者は現在、約80 万人に上り、その孤立化が問題になっています。このような現状に対し放射線治療を既に受け再放射線治療が不可能な患者にも再照射できるのは中性子捕捉療法のみであると考えています。
これまで原子炉を使った中性子捕捉療法では、京都大学原子炉実験所のデータから1994 年以降300 症例以上あり、再発がんに対しても有効であることが証明されています。例えば、頭頚部再発がんの5 年生存率は約24%であり、4 人に1 人が5 年以上生存できることが示されました。これらが契機となり2004年以降需要が急激に増加し、原子炉には依存しない加速器による中性子捕捉療法機器の開発を推進しなくてはならないという気運が研究者に芽生えました。
私たち株式会社CICSは、2010 年12 月、独立行政法人国立がん研究センターとこの課題を解決するため共同研究契約を締結、現在、加速器中性子捕捉療法(加速器BNCT)の実現に向け着手しています。また新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)から助成を受け、放射線医科学研究所をはじめとする先端研究機関との共同研究により、現在、加速器を用いて中性子を発生させる装置を開発中で、広く普及するためには安全性と小型化を実現し社会に貢献すべく開発に努力しております。株式会社CICSは関連機関各位とチーム一丸となって今後とも誠心誠意を尽くし、使命を完遂する覚悟でございますので、何卒、皆様のご高配とご鞭撻を賜りますようこころからお願い申し上げます。
平成24年6月7日
株式会社CICS
代表取締役 今堀 良夫