Home » コンセプト » 新しい癌治療

新しい癌治療

ホウ素中性子捕捉療法の紹介

究極の癌治療としてホウ素中性子捕捉療法(boron neutron capture therapy: BNCT)が注目されています。BNCTとはホウ素10 (10B)と熱中性子との核反応で生じる高LETのα粒子を用いた癌の粒子線治療法の一種であり、特に浸潤性の癌に有効です。その理由は、熱中性子とホウ素10が反応を起こすと2.3MeVという巨大なα線エネルギーが発生し、約10μmの飛程範囲内でエネルギーが消滅します。α線の照射範囲が癌細胞の中だけにとどまるため、となりあう正常細胞の障害を心配する必要がなく、分割照射により正常組織を保護する必要がないという究極の癌治療法です。治療回数は原則一回だけで行われ、これまでの癌治療法にはない大きなポテンシャルを有します。普及しなかったのは原子炉を利用していたため限界がありましたが、加速器を用いたBNCTが可能となり実現を目前にしています。

現在の放射線治療とどこが違うのか

BNCTは浸潤性の癌に有効です。すなわち癌細胞と正常細胞が入り交ざった浸潤領域はBNCTしか治療法はありません。最も重要な役割は放射線治療再発がんに有効なことです。これまでのどのような癌治療法にもない大きな特徴です。同様に化学治療による再発がんにも可能です。理由は正常細胞には損傷を加えないため正常細胞の再生が可能なためです。
一方、IMRT治療や陽子線治療は固形癌に対して幾何学的な精度を保ち癌細胞に一律に照射することができます。両者は作用機序が根本的に異なるために医療の現場では補完的役割を担います。BNCTは細胞レベルで悪性度が高い癌細胞を見分けることができ選択的に殺傷することができます。一方、 IMRT治療や陽子線治療BNCTでは増殖速度の遅い癌や悪性度の低い癌に有効です。例えば前立腺癌など辺縁が明瞭な固形がんには有効です。BNCTでは幾何学的な精度が保てない癌、すなわち平面的な胸膜や腹膜への播種や蠕動する腸管近傍に播種した進展癌にも効力があります。これらの臓器へはIMRT治療や陽子線治療では治療不可能です。BNCTは数回の照射が可能で放射線治療後の再発癌などにも有効です。

究極の癌治療として

国内では152万人のがん患者を抱え、その半数68万人が進行再発がんに移行してゆきます。2020年には新規がん患者は84万人と想定され、仮にその2割がBNCTの対象と仮定しても年間16万8千人となり、進行再発がんに効果があるため需要は高いと予想されます。BNCTは、多様ながんに対して抜群の治療効果を示すことが原子炉を用いたBNCTにより実証済みです。また事前に18FBPA-PETを行ってホウ素を癌細胞に誘導するB-10 boronophenylalanine (10BPA)の取り込みの多いがん患者を選択することができます。よって治療効果は予測することができ、よい結果が得られることになります。取り込みが少ないがんに対して、効果は期待できませんが、このような癌の悪性度は比較的低く、このような場合には手術や従来の放射線治療が適応されます。 

 


コンセプト
総合ソリューションシステム
新しい癌治療

ページトップへ